Integrated IS-IS <第7回> ナローメトリックとワイドメトリック

Integrated IS-IS – ナローメトリック

Integrated IS-ISで使用するメトリックは「ナローメトリック」と呼ばれています。Integrated IS-ISを有効化したインターフェースからLSPを発信していく際にこのメトリック値が加算されていきます。メトリック値の加算の流れは、OSPFと同様の考え方となります。

Integrated IS-ISが有効化されたインターフェースに適用されている「ナローメトリック値」のデフォルトは「10」です。ナローメトリックのこの値を「1 ~ 63」の間で変更できます。宛先ネットワークへのパスコストは、このナローメトリック値の合計値となります。ただし、このナローメトリック値の合計値は最大で1023となります。

routingis12

例えば上図の場合、R1から「10.1.3.0/24」の宛先ネットワークに到達するための、Integrated IS-ISにおけるメトリック値は「30」となります。発信時に加算されます。

Integrated IS-IS – ワイドメトリック

ナローメトリック値を設定できる範囲が 1~63(6bit)であり、そのパスコストの合計値が1023(10bit)というのは大規模ネットワークでは柔軟性がなく「ワイドメトリック」というメトリックがサポートされるようになりました。

インターフェースでワイドメトリック値を設定できる範囲は 1 ~ 16777214(24bit)でありそのパスコストの合計値が最大で約43億(32bit)となりました。実質、無制限と言えます。

ナローメトリックとワイドメトリックは混在させることができないため、どちらを使用するか設定コマンドであらかじめ宣言する必要があります。デフォルトでは「ナローメトリック」が使用されます。ナローメトリックとワイドメトリックの比較表は以下のとおりです。

メトリックの種類 設定できるメトリック値 パスメトリックの合計値
ナローメトリック 1~63 (6bit) 1023 (10bit)
ワイドメトリック 1~16777214 (24bit) 約43億 (32bit)

Cisco英文サイトでの表現

CCOの解説では、ナローメトリックは「style narrow metrics」と表現されています。
説明文:For style narrow metrics the range is from 1 to 63.

CCOの解説では、ワイドメトリックは「style wide metrics」と表現されています。
説明文:For style wide metrics the range is from 1 to 16777214.

Cisco IOSでワイドメトリックを実装する場合「metric-style wide」コマンドを定義します。設定例:(config-router)# metric-style wide level-1-2

◆ metric-style wide
To support better metric granularity, Cisco IOS allows for a wider metric field. This field could be 24 bits wide for the Extended IP Reachability TLV or 32 bits wide for the Extended IP Reachability TLV.

最後に理解度チェックです。例えば以下のような問題が出題された場合、説明不足とはいえ、それはIntegrated IS-ISのことを説明しており、以下の2つの説明文を選択できるはずです。

Which statements about the metric-style wide statement as it applies to route redistribution are true?

・ It is used in IS-IS.
・ It is used for accepting TLV.

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