IEEE 802.3at(PoE+)給電時の注意事項:Yamaha WLXとの接続はLLDP有効の設定必要

PoEとは、LANケーブル上でデータ通信の実現とともに、電力供給できる技術のことです。PoEの給電仕様は以下の通りとなっています。

クラス 給電機器の電力 使用すべきケーブル 規格
0 15.4W Cat5e IEEE802.3af
1 4.0W Cat5e IEEE802.3af
2 7.0W Cat5e IEEE802.3af
3 15.4W Cat5e IEEE802.3af
4 30.0W Cat5e(Cat6推奨) IEEE802.3at( PoE Plus )
60.0W Cat5e(Cat6推奨) UPoE( Cisco独自 )

クラス3のIP電話機に電源供給する場合には、1ポートで15.4Wの電力供給可能なPoEスイッチを選定する必要がありますし、802.11ac対応の無線アクセスポイントに電力供給する場合は1ポートで 30W or 60W の電力供給可能なPoEスイッチを選定する必要があります。

どのメーカーのPoEスイッチでも、デフォルトの設定状態でPoE供給できる状態になっている機器が多いですが、例えばYamaha WLXシリーズとの接続ではLLDPが有効化されている必要があります。

Yamaha WLXシリーズのFAQでは、以下の「原因」と「対処」が紹介されています。

Q:POWERランプが橙点滅して無線機能が使えないのですが・・・

【原因】

PoE給電のとき、WLX402はIEEE 802.3atのクラス4で給電されなければなりません。しかしIEEE 802.3atのクラス4で給電されていることを起動時に確認できないと、以下の動作となります。

・ POWERランプが「橙点滅」します。正常に起動したときは「緑点灯」。
・ Web設定画面もコンソールも使えますが、無線機能が無効化されます。
・ Web設定画面を開くと、以下の警告が表示されます。

PoEの供給電力が不足(15W)しているため無線機能が無効になっています。給電機器をIEEE802.3at( 30W )対応のものに変更するか、WLX402専用のアダプターをご利用下さい。

【 制限解除の条件 】

以下のどちらかの条件を満たしたとき、上記の制限を解除します。

物理層でPoE給電機器がIEEE 802.3at Type 2であることを検出したとき。
データリンク層でPoE給電のpower classが4であることを検出したとき。
(LLDP 802.3at Power via MDI TLVのpower classに4を通知されたとき)。

【 対処 】

PoE給電機器がIEEE802.3atのクラス4で給電できるよう設定されていることを確認してください。またPoE給電機器がLLDPに対応している場合は、LLDPが利用可能であることを確認してください。

・ PoE給電機器の設定でLLDPが有効化されていること
・ WLX402でLAN1ポートが「アクセスポート」または「ハイブリッドポート」でアクセスVLANが設定されていること(LLDPフレームを送受信するためには、LAN1ポートでタグなしフレームが疎通する必要があります)。

その他のメーカーでも、PoEによる電源供給がうまく動作しない場合は、CDPやLLDPの有効化と無効化を試したり該当ポートのshutdownとno shutdownを試したり、それでも、正常に作動しない場合はネットワーク環境が許す状態であれば(構築環境・切替作業時間帯など)、PoEスイッチの再起動なども試してみましょう。

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